今回の番外編は、新キャラとなる『学(まなぶ)=ガク』視点です。彼もまた第五章より、登場する予定のキャラとなります。番外編のストーリーでは、双子の兄の方であった『学』と、乙女ゲー世界(?)に転生した『ガク』の話です。この2人が同一人物であることは、番外編の後書きでも認めていますが、それ以上の事情はご想像にお任せします。

※以下は、補足としてネタバラシも含まれます。ネタバラシを好まない方々は、スルーしていただけたらと思います。

義母と実父は政略結婚であったが、互いに嫌う仲であったり、相手を憎んだりする関係では、ありませんでした。実父がガクの母親と恋に落ちた時も、義母は黙認どころか許していたようです。しかし、ガクの母親は妊娠した時、義母に申し訳ないという思いもあり、黙って姿を消してしまいます。

その後、実父も義母も彼女の立場を考え、敢えて彼女を探しませんでしたが、伯爵家の次期後継者を巡り、実父の親戚がその地位を狙ってきたので、義母を仕方なく彼女を探し出し、彼女を説得したのちに、執事に敢えて迎えに行かせたのです。自分が悪者になる為に。

謝礼金を受け取ったという話も、ガクが実母に会いに行かないよう、諦めさせる為でした。何れは親子として、会うことを許可するとしても、先ずは貴族として地盤を固めてから、という気持ちからのようです。ガクに憎まれても…という強い気持ちで、ガクを我が子として立派に育てていきます。自分が引き離してしまった、実母の代わりに。

ガクの父親は何も知らず、養子となったガクに驚きましたが、今更父親面をすることもできないと、義母や彼女に罪悪感を感じつつ、頑なにガクと距離を取っています。愛する女性との間にできた我が子を、自分の子供だと一目で見抜くほど、愛しているようですが。

ガクはガクで乙女ゲーの記憶の所為で、義母や実母への恨みはなくとも、実父に対しては不信感を持ったようです。何しろ、乙女ゲーでは父親が一切登場せず、設定にも特に記載がなく、ガクは冷たい父親に感じました。

…以上、番外編の補足事項として、裏設定を書いてみました。乙女ゲーのようなドロドロした、恨みや妬みなどの負の感情はなく、どちらかと言えば…自らが背負う重さに、マイナス要素が見られます。義母は自ら悪役となり、実父は自ら感情を抑えて、実母は息子の幸せだけを願い、大人達が何か犠牲を払っています。

乙女ゲーの設定と同じようで、全く違うと言えるでしょう。後は、ガクがどういう対応を取るかで、乙女ゲー通りとなっていくのか、それとも全く別の未来を進むのか、それらは第五章ではっきりさせていきたい、と思います。